多焦点眼内レンズ

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白内障と眼内レンズ

白内障と眼内レンズ

白内障は目の中の水晶体が濁る病気です。水晶体はカメラのレンズのような役割をしており、外からの光を集めてピントを合わせる重要な働きをしています。本来、水晶体は透明ですが、加齢などにより濁ってくると、光がうまく通過できなくなり、乱反射したりして、網膜に鮮明な像が結べなくなります。その結果、視力が低下します。
白内障の手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の水晶体である「眼内レンズ」を挿入します。この手術によって視力を回復させることができます。

眼内レンズには大きく分けて2種類

単焦点眼内レンズ 一つの距離だけにピントが合うレンズ
多焦点眼内レンズ 複数の距離にピントが合うレンズ

単焦点眼内レンズについて

若い方の目は、水晶体の形や厚さを変化させることで、近い場所から遠い場所までピントを合わせて見ることができます。しかし、年齢とともに老眼になると、この調節機能が衰え、最終的に1つの距離にしかピントを合わせられなくなります。

単焦点眼内レンズは形や厚さを変化させることができないため、1つの距離にのみピントが合った状態になります。

挿入する単焦点眼内レンズによって、見え方の違いがあります

遠くにピントを合わせた場合

遠くはよく見えますが、新聞や本などの近くを見るには老眼鏡が必要になります。

近くにピントを合わせた場合

新聞や本などの近くはよく見えますが、遠くを見るときには近眼用のメガネが必要になります。

中間距離にピントを合わせた場合

パソコン画面など中間距離(約1m前後)はよく見えますが、近くも遠くもやや見えづらく、はっきり見るためには遠近両用メガネが必要になることがあります。

単焦点眼内レンズのポイント

単焦点眼内レンズは健康保険が適用されるため、費用面での負担が少ないという大きなメリットがあります。患者さまの生活習慣に合わせて、どの距離にピントを合わせるかを選ぶことが大切です。

多焦点眼内レンズとは

多焦点眼内レンズは、複数の距離にピントを合わせることができるレンズです。単焦点眼内レンズでは1つの距離にしかピントが合わず、それ以外の距離を見るにはメガネが必要ですが、多焦点眼内レンズなら近く・中間・遠くなど複数の距離に同時にピントを合わせることができます。

日常生活の多くの場面で
眼鏡なしで過ごす
ことが
できるようになります。

ただし、見え方には個人差があり、すべての距離が完璧に見えるわけではありません。状況によってはメガネが必要になる場合もあります。

多焦点眼内レンズの主な種類

2焦点眼内レンズ

遠くと近くの2つの距離にピントが合います。それぞれの距離ではっきり見えますが、その中間の距離は見えづらいことがあります。見えづらい距離では、補助としてメガネが必要になる場合があります。

3焦点眼内レンズ

遠く(運転など)、中間(パソコンなど)、近く(読書など)の3つの距離にピントが合います。2焦点レンズより幅広い範囲をカバーするため、日常生活でメガネが必要になる場面がさらに減ります。

焦点深度拡張型レンズ(EDOF)

特殊な技術により、ハロー・グレア(光のにじみ)を軽減し、遠方から中間までが連続して自然に見えるように設計されています。ただし、近くの見え方はやや弱くなり、手元を見るときには老眼鏡が必要になる場合があります。

多焦点眼内レンズの構造

多焦点眼内レンズは主に「屈折型」と「回折型」の2種類に分けられます。それぞれ構造が異なり、見え方の特徴も違います。

屈折型

レンズの中に同心円状に遠用領域と近用領域が交互に配置されています。または上部が遠方用、下部が近方用と分かれているタイプもあります。コントラスト感度が高く、遠くをよく見るのに適しています。瞳孔径(瞳の大きさ)の影響を受けやすいため、比較的若い方に向いています。

回折型

レンズに同心円状の階段状の段差があり、光の回折現象を利用して光を分散させます。遠くと近くのバランスが良く、瞳孔径の影響を受けにくいのが特徴です。

多焦点眼内レンズのメリット

幅広い距離での視力確保

複数の距離にピントが合うため、日常生活の多くの場面で眼鏡なしで活動できます。遠くから近くまで見える範囲が広がり、メガネやコンタクトレンズへの依存度が減ります。

老眼と白内障を同時に改善

白内障の治療だけでなく、老眼による近くが見えにくいという悩みも同時に軽減できます。

乱視も矯正可能

乱視矯正機能を持つ多焦点眼内レンズもあり、白内障、老眼、乱視を一度に治療できます。

生活スタイルに合わせた選択が可能

多焦点眼内レンズは種類が豊富で、それぞれ特徴が異なります。読書好きな方、パソコン作業が多い方、運転が多い方など、患者さまの生活スタイルに合わせて最適なレンズを選ぶことができます。

多焦点眼内レンズのデメリット

見え方の質がやや低下

複雑な構造のため、単焦点眼内レンズと比べてコントラスト感度(明暗の差を識別する能力)がやや低下することがあります。ただし、近年のレンズは改良が進み、見え方の質は向上しています。

ハロー・グレア現象

夜間に光の周りに輪(ハロー)が見えたり、強い光がまぶしく感じたり(グレア)することがあります。これは多焦点眼内レンズの構造上の特性です。最初は慣れない方もいますが、時間とともに脳が適応して気にならなくなることが多いです。また、ハロー・グレアを軽減するタイプのレンズも開発されています。

費用が高額

多焦点眼内レンズは保険適用外となるため、保険適用の単焦点眼内レンズと比べて費用負担が大きくなります。

順応期間が必要

複数の距離に同時にピントが合う状態に脳が慣れるまで、時間がかかることがあります。早い方で1ヶ月程度、時間のかかる方では半年程度かかることもあります。

多少点レンズの費用について

当院では、多焦点眼内レンズには「選定療養」を行っております。

選定療養

国が認可したレンズを使用する場合です。手術費用(基本的な眼内レンズ代を含む)は健康保険が適用されるため1〜3割の負担となり、多焦点眼内レンズの追加費用(保険適用の眼内レンズ代との差額)のみが自己負担となります。

このような方には多焦点眼内レンズがおすすめ

  • メガネをなるべく使いたくない方
  • 趣味や仕事でさまざまな距離を見る必要がある方
  • 老眼の不便さから解放されたい方
  • より自然な見え方を希望する方

このような方には慎重な検討が必要です

  • 夜間の運転が多い方(ハロー・グレアが気になる可能性があります)
  • デザイナーや写真家など、色彩や細かい作業が重要な職業の方(コントラスト感度の低下が影響する可能性があります)
  • もともと近視で、裸眼で手元を見ることに慣れている方
  • 神経質な方(光のわずかな変化が気になる可能性があります)

当院で取り扱う多焦点眼内レンズ

厳選されたレンズのみを採用

厳選されたレンズのみを採用

多焦点眼内レンズは年々種類が増えており、手術時の選択に迷われる方も少なくありません。当院では、院長が術後成績や安全性を重視し、数ある中から厳選したレンズのみを採用しています。
患者さまのライフスタイルや見え方の希望に合わせ、最適なレンズをご提案いたします。
多焦点眼内レンズは「選定療養対象」と「自由診療」に分類され、それぞれに特徴や適応があります。

選定療養対象レンズ(保険診療+追加費用)

パンオプティクス(PanOptix)
項目 内容
光学デザイン 回折型3焦点
焦点距離 遠・中・近(60cm40cm
乱視矯正
ハロー・
グレア
やや少ない
特徴
  • 幅広い距離をカバーし、日常生活で眼鏡不要なことが多い
  • 手元30cmはやや弱い
クラレオンビビティ(Clareon Vivity)
項目 内容
光学デザイン 波面制御型焦点深度拡張
焦点距離 遠〜中
乱視矯正
ハロー・
グレア
ほとんどない
特徴
  • 自然な見え方
  • 近方は弱めで、他レンズとの組み合わせで補うこともある

ご注意いただきたいこと

  • 他の眼疾患がある場合は適応できないことがあります。
  • 全ての距離に完全にピントが合うわけではなく、眼鏡が必要になる場合があります。
  • 夜間運転や精密作業、強い近視などの場合は慎重に検討が必要です。
  • 適応があっても満足できず単焦点へ入れ替える場合は自己負担となります。
  • コンタクト使用者は術前検査まで一定期間装用を中止してください。

当院では患者さまの目の状態や生活習慣をしっかり考慮して、最適なレンズをご提案します。

こじま眼科では、お一人ひとりの患者さまに合わせた「やさしい医療」を心がけています。
どんな小さな疑問や不安も、お気軽にご相談ください。

TEL072-722-1717

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